2003年10月 越冬そして切断
10月に入ると強い北風はウソのように止んだ。
しかし確実に寒くなっている。
初旬早々にいよいよ「簡易温室」の仮組立にかかる。
夏からさんざん考えた結果、6畳部屋の中にビニールシートの「囲い」(縦横1、8m 高さ2、1m)を設営。
スチーム付き遠赤外線ストーブ(弱暖使用350W)と熱帯魚用サーモスタットで保温保湿する計画に。
もともと冬でも暖かめの屋内なのでそんなに緻密なものでもなく、シートをガムテープでつないだだけの簡単に設営、解体ができる粗雑なものだ。
それでも実際組み上げると部屋の中にテントを張ったようなもので、それなりの圧迫感はある。これで最低室温26度を維持する予定。
島バナナに異変が起きたのは温室の仮組み上げ数日後のことだった。
1号、2号ともに腰回りの古い葉から黄変し始めたのだ。
気温は27〜18度くらいであったが、少し水をやるのを少なめにしていたのがまずかったか。それとも寒いのか、肥料切れということも。
成長は先月末から止まっていただけに水のやり過ぎでの根腐れも恐く、本当に判断が難しい。
「1号」。下の方から黄色く変色。
左:「2号」の腰回りの葉を落とす。 右:「2号」吸い芽も黄色く。
原因はともかく、1号は腰回りの完全に枯れた葉は取り去ってしまい、早急に温室完成後に移した。
だが比較的新しい、上の方の葉も黄変し始めている。まずい。
で、問題は2号。先月でも記したとおり、ハダニの被害は相当なもので親株の葉は壊滅的なダメージを受けていた。
ダニ駆除剤の「粘着くん」等を試したり、腰回りの葉もすでに取り去ったが新しい葉もボロボロに。
吸い芽にもハダニが目立ちはじめ、おまけに黄変が始まっている。
最新の葉は長さ95cmまでになっているが。・・・ここは決断するしかなかった。
「2号」の元株を切断。中央がすでに伸び始めている。
(夕方撮影で見にくいが。)
ということで、2号は親株の仮茎をバッサリ!
(太めのカッターナイフで簡単に切れるので驚く。)
吸い芽の葉も刈り込んだ。株分けは時間切れで今回見送り。
本来根元から仮茎をバッサリとやってしまうところだが、今回はどうせならダメで元々、と仮茎の高さ約40cmで切断してみた。
「なんちゃって低茎化」である。
島バナナにおける「低茎化、低着果技術」というのは台風での被害を受けにくくしたり、背を低く抑え世話がしやすくなるようにと考えられた方法なのだが、詳しいことは知らないのでデタラメで試してみた。
本来はもっと大きく成長してから行うはずだ。
ところが切断直後から断面中心部が盛り上がり始め、「なんちゃって低茎化」が想像以上の展開を見せることになる。
「2号」切断から12時間後。
左:9日後の「2号」。最初の葉は仮茎ごと切断されたので、葉先が無い。
右:同13日後。2枚目の葉身は切断前より少し短い長さ75cm。
翌日以降、「2号」の元株断面は想像以上に伸び始める。
凄い。
吸い芽も盛夏時並みの、葉の縁から水がしたたりおちる程の強力な水の吸い上げを見せており、成長が止まりかけていたのが完全復活となったようだ。
月末には吸い芽、元株とも新しい葉が伸び、今後が楽しみな展開に。
「2号」が好展開すると今度気になるのは「1号」。
完全に成長は停止。
外観の変化はほとんどなく、葉の黄変も止まるが、黄変部分は枯れてしまう。
新しい葉の先が少し覗いているが伸びる気配はなし、水をやっても吸い上げている気配もなし。
ただ吸い上げようとしているのか、葉がピンと張っている時間帯があるのですぐに枯れてしまうこともないようだ。
根腐れしないよう水の量に注意しつつ、肥料が足りないのかも、と草木灰(カリ30)を追肥。液肥も400倍位で投入。
ついでに紅茶の出涸らしも。とにかく様子を見るしかないか。
左:石垣1号(鉢土面135cm)と石垣2号(同100cm)。
右:波照間1号(同65cm)。
セイロンベンケイソウも一鉢を除き中旬より室内へ。
全ての株が2度目の越冬になる。
今年は簡易温室のせいで夜も照明があたる部屋に置かざるを得なくなった。
花が咲きにくくならないか少し心配だ。
実は来年の2月くらいに石垣グループに花が咲かないかと密かに期待しているのだが。