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ニシ浜。

翌朝、最初の便で常連のその彼女は帰っていった。

他の宿泊客と一緒に見送った後、しばし自転車のギアのシフトレバーを何とか直そうと試みる。
ハンドルからいったん外し、歪んで口の開いているカバーを慎重に修正してみる。
中の状態は見えないが空回りしているようなので、歪みが元に戻れば何とかなりそうだと考えていた。
実際これだけの作業でもまだ多少の空回りはあるものの、1〜4速は何とか使えるようになった。
封筒に入れておいた「セイロンベンケイソウ」を郵便局のポストに出しに行くのに自転車を試してみたがなかなか上出来。

さて、今日はもちろん海で過ごす。
シュノーケル、マスクとカメラ、途中の共同売店でお茶のペットボトルを買って一気に自転車で「ニシ浜」に向かう。
あっという間にニシ浜に着くが何故か昨日のような鮮やかさを感じない。やや天候が下り坂のせいか、昨日に比べると時々日差しが完全に遮られるほど雲が多い。

それにちょうど昼前後が潮の引く時間だったのでどうかなと思っていたが、やっぱりかなり先まで行かないと泳げそうにない。
実際、浜に近いところでは泳いでいるというより浸かっているといった感じだ。
「まあええか。」とシュノーケルとマスクを持ってひたすら沖の方に歩く。
かなり歩いているが一向に水深は腰の高さにもならない。
いい加減に疲れてきたのでとりあえず、水の中を覗いてみるかとマスクをしてその場にしゃがんでみる。

水中に顔が沈んだ瞬間、目の前の小魚と目が合った。
ちょくちょく魚がすぐ前を横切る。
なんて透明度の高さ!

無理にシュノーケリング出来なくもなさそうだったが、腹を擦りそうなくらいのところもあるので、しばらく水中にあぐらをかいてじっとしていた。
それだけでも何種類かの小魚は見れた。水中カメラを岸まで持ってきていたことも忘れて、魚に集中してしまう。


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(C) S-ORA


「おおっ!?」
突然目の前にシュノーケリング中のオネーチャンが横切ったところで、水中から立ち上がって先に行くことにした。
もうそれほど進まないうちに急に底が深くなる。

10m位あるか。

底は確認できるのだが、目の前にフィン無しでジタバタしてるさっきのオネーチャンも確認。
自分もフィンは無いし、「流れがあるんかな」、と恐る恐る少しだけ出てみる。
ほとんど流れはないようだがこれだけ底がよく見えるのもかえって不安感が。
そう泳ぎが得意な方でもないし、怖がりなので結局すぐにやめる。
時折水中を覗き込みながらゆっくりと岸に向う。

後は木の陰で寝転がる。
日差しがほとんど無くなるくらいに雲が空を覆ってきている。天気だけは悪くなって欲しくないのだが。


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昼からも日差しがそれほどないこともあって浜で昼寝をする。
写真を撮ることも今回の目的だったが、このニシ浜の居心地の良さに負けた。一日居ても飽きないというのがよくわかる。

しばらくウトウトしていると、いつの間にか日差しが戻っている。
日焼け止めも大してあてにならない強烈な直射日光。
たまらず海に入るが、徐々に夕方の満潮に近付いているので場所によっては波打ち際でも泳げるくらいになってきていた。


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